耳の老化 9月20日今日の健康NHK

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MCは黒沢保裕さん、岩田まこ都さん、
解説してくれるのは、
三井記念病院 特任顧問 奥野 妙子先生です。


image130.gif【耳の老化】

【加齢性難聴】

加齢性難聴とは、加齢にともなって起こる難聴です。
40歳代から徐々に増えていき、
65歳以上ではおよそ3人に1人、
75歳以上では約半数を占めるとされています。

次第に言葉が聞き取れないのに加え、
コミュニケーションや日常生活に支障をきたすだけではなく、
認知機能の低下につながるともいわれています。



■聞こえのメカニズム

音は空気の振動によって鼓膜を振動させます。
その振動は、鼓膜の内側にある耳小骨に伝わり増幅され、
その奥にある蝸牛という渦巻状の器官に伝わります。

蝸牛の中には、細かい毛が並ぶ有毛細胞があります。
有毛細胞は音の振動を電気信号に変換し、
聴神経を介して脳へ伝えます。
そこで、初めて音として認識することができます。
この有毛細胞は加齢ととに徐々に減っていって、
再生することがありません。

60歳を過ぎると高音が聞こえにくくなりますが、
それは蝸牛の仕組みと関係があります。
蝸牛の中の有毛細胞は、
高音を感知する部分から減って行くからです。
そのせいで、電子音などが効きにくくなったりします。
会話では、母音よりも子音の方が聞きにくくなります。
そのため、『佐藤さん』と『加藤さん』の
ような聞き間違いが生じてきます。

また、雑音のある場所では、
雑音と人の声が混ざってしまい、
聞き取りにくくなります。


■症状と生活環境

症状が進行すると、
危険を知らせる警戒音に気づかなかったり、
後ろから近づいてくる自転車に気付かなかったりと、
事故の危険性が高くなります。
また、会話に支障をきたすようになるため、
人との交流がおっくうになっていくこともあります。

加齢性難聴では、
仕事や生活で日常的に騒音にさらされてきた人は、
特に進行しやすくなります。
これは、騒音による大きな振動で、
有毛細胞が早くから減ってしまうためです。

動脈硬化により血流が悪くなることでも、
有毛細胞が減ると考えられています。
糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のある人、
喫煙習慣がある人では加齢性難聴が起こりやすくなります。

また、家族に難聴がある人も、
加齢性難聴が起こりやすいとされています。
60歳を超えて日常生活に支障を感じるようになったら、
早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしてください。


■診断

問診により、本人が聴力の低下によって
どんなことに困っているかを確認します。
加齢性難聴は、加齢以外の特別な原因がない難聴です。
それ以外の治療を必要とする耳の病気が隠れていないか、
必ずチェックしてもらいます。
聴力検査では、左右それぞれの聴力や、
言葉の聞き取り調査などが行われ、
難聴の種類とその程度が診断されます。


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【対策】

加齢性難聴を治すことはできませんが、
補聴器を使うことで聴力を補うことはできます。
補聴器が勧められる目安は、
聴力が40デシベル以上の難聴といわれています。
これは、近くでひそひそ声で話しかけられても気づかず、
難聴のない人にはうるさいと感じられるほどの音量でなければ、
テレビの音などが聞こえにくいレベルのことです。

高齢者に難聴が起こると、
言葉の理解やコミュニケーションが難しくなることで、
脳への刺激が減り、認知症の発症にも関係するとも考えられています。


■補聴器選び

耳鼻咽喉科で補聴器が必要だと診断されたら、
『補聴器適合に関する診療情報提供書』
を書いてもらいます。
それを持参して、
認定補聴器専門店で適切な補聴器を選択します。
1~2週間後、試聴できることもあります。
補聴器を使い始めると必要に応じて調節を繰り返すとともに、
耳鼻咽喉科で定期的にチェックを受けるようにしてください。


■補聴器のタイプ

◆耳かけ型


小型化されていて、
目立たないシンプルな柄やカラフルなものなど、
デザインが豊富です。



◆耳穴型

耳の形に合わせてオーダーメイドで作るため、
耳の穴にぴったりと収まるようになっています。



◆ポケット型

コントローラーにイヤホンをつないで使用します。
サイズが大きいため、家の中で使うのに適しています。



補聴器の価格はさまざまですが、
健康保険は適用されません。
使い始めは
「音がうるさい」「聞こえが十分改善しない」
などと感じる人もいますが、ある程度使い続けていると、
脳や耳が慣れて違和感が減り、
うまく使いこなせるようになります。
その期間は、一般的に3か月が目安です。

補聴器は水にぬらさず、ヘアスプレーをかけない
などに注意して、
寝る前には外すようにします。
そして、専門のケースに入れて保管します。


■周囲の人の接し方

高齢で難聴のある人には、
ゆっくり、はっきり、言葉を区切りながら、
顔を見て話すようにしましょう。
静かで、表情が見やすい明るい場所で、
近い距離から話しかけることも大切です。

周囲の人は話し方、場所、環境に注意し、
円滑なコミュニケーションがとれるように心がけてください。