すい臓がん最新治療 8月9日今日の健康NHK

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MCは黒沢保裕さん、岩田まこ都さん、
解説してくれるのは、
和歌山県立医科大学教授 山上 裕機先生です。


image130.gif【すい臓がん最新治療】

【治療の現状】

すい臓がんは治療の難しいがんです。
すい臓がんは悪性度が高く、
リンパ節やほかの臓器に移転しやすいこと、
さらに手術で完全に取り除くことが難しく
再発しやすいことも治療を難しくしています。

しかし、最近では治療法が進歩し、
すい臓がんを発症しても長く元気でいられる人も増えてきました。
すい臓がんの治療法には、
手術、抗がん剤治療、放射線治療があります。

◆手術

手術ができる場合は手術を行い、
再発予防のために抗ガン剤治療を組み合わせます。



◆手術ができない

抗がん剤治療や、
抗がん剤と放射線を組み合わせた治療を行います。



◆ボーダーライン

手術はできるものの、手術後に目に見えない小さながんが残り、
再発する可能性が高いケースです。
手術するかしないかの選択が難しい状態をさします。


■ステージ

◆ステージⅠ


がんはすい臓内にとどまっている。
手術できる。



◆ステージⅡ

がんはすい臓の外まで広がっている。
またはリンパ節に転移がある。
手術できる、またはボーダーライン。


◆ステージⅢ

腹腔動脈や上腸間膜動脈など、
すい臓の周囲の主要な動脈にがんが接している。
ボーダーライン、または手術できない。


◆ステージⅣ

肝臓などほかの臓器や腹膜に転移がある。
手術できない。



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【手術】

すい臓がんの手術は、
がんのできている部位によってその方法が選択されます。
また、すい臓をすべて摘出することもあります。
さらに、周囲の臓器やリンパ節も切除し、
残った臓器をつなぐ再建が行われます。
すい臓を切除するとインスリンの分泌がなくなりますので、
手術後はインスリン製剤の注射が必要になります。


◆注意点

すい臓がんの手術後、すい液が漏れることがあります。
そうなると、すい液が周囲の組織を溶かしてしまいます。
特に動脈を溶かすと大出血につながることがあります。
このようなリスクをさけるために、
すい臓がんの専門家のいる
『ハイボリュームセンター』
と呼ばれる医療機関で手術を受けることをお薦めします。


■抗がん剤治療

すい臓がんの手術後には、抗がん剤治療が行われます。
日本ではS-1という治療薬が第一選択薬となっています。
1日2回服用し、それを4週間続けて2週間休みを1コースとし、
4コース繰り返します。

副作用などによって継続が難しい場合は、
注射薬のゲムシタビンが用いられます。

副作用には次のようなものがあります。

●S-1
食欲不振、吐き気、下痢、口内炎、
皮膚の色素沈着



●ゲムシタビン
吐き気、嘔吐、発熱、発疹、疲労感

また、共通して
白血球の減少、貧血、血小板の減少などがあります。


■手術前の抗ガン剤治療

ボーダーラインで手術前に抗がん剤治療を行う場合は、
S-1とゲムシタビンを併用したり、
ほかの抗ガン剤を組み合わせたりします。
手術による体力低下がないため、
抗がん剤を投与しやすいという長所があります。


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【手術できない場合】

手術ができない場合には、抗がん剤治療、
あるいは、抗がん剤と放射線を組み合わせた治療が行われます。
抗がん剤治療に用いられるのは、
S-1
ゲムシタビン
ゲムシタビンとエルロチニブ(併用)
フォルフィリノックス(4剤併用)
ゲムシタビンとナブパクリキタセル(併用)

です。

抗ガン剤治療によって患者さんが元気で過ごせる期間が延びています。
また、いったん手術ができないと診断されたがんが、
抗がん剤治療で縮小し、
手術できるようになったケースもあります。


■抗ガン剤と放射線の併用

対象となるのは、がんがすい臓の周辺にとどまっている場合です。
1日1回、5~10分間程度放射線を当て、
それを5~6週間行います。
放射線治療の副作用には、
吐き気、嘔吐、食欲不振、皮膚炎、下痢などがあります。

がんが進行すると、
食べた物が十二指腸に詰まることがあるため、
ステントという筒状の金属を入れて
通りをよくすることもあります。
また、がんによる痛みがある場合は、
それを取り除く緩和治療も行われます。

さらに、新しい治療も進められていて、
日本では免疫細胞を使ってがんを攻撃する研究が始まっています。