膵臓が溶ける!急性すい炎 8月6日今日の健康NHK

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MCは黒沢保裕さん、岩田まこ都さん、
解説してくれるのは、
関西医科大学教授 岡崎 和一先生です。


image130.gif【膵臓が溶ける!急性すい炎】

年間約6万3千人が急性すい炎を発症し、
患者は増加傾向にあります。
中高年に多く男性患者は女性の約2倍です。


【急性すい炎】

膵臓は消化液のすい液と血糖値を下げるホルモンの
インスリンを分泌しています。
すい液には、
炭水化物を分解するアミラーゼ
タンパク質を分解するトリプシン
脂質を分解するリパーゼなどの消化酵素が含まれています。

急性すい炎はすい液によって引き起こされます。
すい液に含まれるトリプシンは十二指腸に分泌されて活性化しますが、
すい臓内で活性化することですい臓自身を溶かし始めるのが、
急性すい炎です。
急性すい炎は、すい液に含まれる
トリプシンによる自己消化によって起こります。


■症状

代表的な痛みは上腹部痛で、
非常に激しく痛み、多くは鎮痛薬なしでは耐えられません。
すい臓の位置が背中に近いため、
『背中が痛い』『腰が痛い』
と感じられることもあります。
体を丸めるように前かがみになると、
痛みがやわらぐことがあります。
ほかに、
吐き気、嘔吐、発熱などが現れることがあります。
また、嘔吐しても腹痛は治まりません。


■原因

最も多い原因がアルコールで、次が胆石です。


◆アルコール

アルコール摂取によって、すい液の分泌が増加したり、
すい管の出口部分が障害されて、
すい液がすい管に逆流することで、
自己消化が起こります。
アルコールの摂取量がふえるほど、
急性すい炎が起こる危険性は高くなります。


◆胆石

胆管を通って胆石が流れてきて、
十二指腸への出口部分に詰まることがあります。
この出口はすい液の出口と合流しているため、
すい液の流れが悪くなり、急性すい炎が起こります。


■診断

腹痛は多くの病気で起こるため、
診断するためには、問診といくつかの検査を行います。
急性すい炎では、血液中や尿中の消化酵素濃度が高くなるため、
血液検査や尿検査を行います。
さらに、腹部超音波、CT、MRTなどの画像検査で、
すい臓の状態を観察します。
急性すい炎を起こしている場合は、
すい臓がむくんで肥大しています。


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【治療】

急性すい炎と診断されたら、
すぐに入院し、激しい腹痛をやわらげ、
すい臓を安静に保ち、重症化させないようにします。

急性すい炎の約80%は軽症で、1~2週間で完治します。
約20%は重症で、
そのうちの約10%の人は亡くなってしまいます。
重症化すると、
すい臓が壊死し、すい臓以外の臓器にも広がって、
心臓、肺、腎臓が機能不全を起こすと、
生命を維持できなくなります。
また、壊死した部分に感染症が起こり、
重症化することもあります。


■治療の基本

①絶食

食事をするとすい液が分泌されるため、
絶食してすい臓の安静を保ちます。
水を飲んだだけでもすい液は分泌されるため、
水分もとりません。


②十分な輸液と循環管理
炎症によって全身の血管が障害されると、
血液中の水分が血管の外に漏れ出ます。
それを補うために点滴で輸液し、
全身の血液の流れが悪くならないように循環管理します。


③薬物療法
腹痛は『鎮痛薬』を使って抑えます。
加えて、『たんぱく分解酵素阻害薬』を使って、
トリプシンがすい臓を溶かすのを抑えることもあります。


◆重症化

急性すい炎は、最初は軽症でも数日で重症化することがあります。
重症化した場合は、基本治療に加えて、
次のような治療を行います。

●腸管への栄養補給
●透析療法
●抗菌薬の投与



◆その他の治療

また必要に応じて胆石の治療などを行うことがあります。

●胆石の治療
十二指腸への出口部分に胆石が詰まっている場合は、
内視鏡などで胆石を取り除きます。


●炎症や壊死による残がいの除去
感染症や出血の危険性がある場合は、
膵臓やその周辺に残った組織の残がいを除去します。


■再発を防ぐ

急性すい炎はいったん治っても再発することがあります。
再発を繰り返していると慢性すい炎に移行しやすくなります。
再発を防ぐためには、
アルコールが原因ならば禁酒し、
胆石が原因の場合は、胆のう摘出が勧められます。
そのほか、喫煙者は禁煙し、
暴飲暴食や脂質の多い食事はさけてください。