本人の声を聴こう!リアルに知る認知症6月11日今日の健康NHK

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MCは黒沢保裕さん、岩田まこ都さん、
解説してくれるのは、
東京慈恵会医科大学 教授 繁田雅弘先生です。


image130.gif【本人の声を聴こう!リアルに知る認知症】

【認知症の初期】

認知症の患者さんは、認知症が始まった初期から
“何かがおかしい”
と自分で気づいています。

そのため、
『人に迷惑をかけるのではないか』
と考えて消極的になってしまいます。

認知症の場合、
『加齢のせいかもしれない』
という迷いや
『認知症であってほしくない』
という気持ちもあり、
なかなか受診に踏み込めないでいます。

認知症と診断されると患者さんは大変なショックを受けます。
『家族に迷惑をかけるのが申し訳ない』
『もう生きていたくない』

そんなことまで考えてしまいます。
それは、時がたつにしたがって前向きになった人でさえそうなのです。

また、認知症と診断されて絶望感を抱くのは、
認知症への偏見があることも影響しています。


■症状

認知症の代表的な症状はもの忘れです。
『鍵の置き場所を忘れた』
『頼まれた用事を忘れた』
『銀行のカードの暗証番号を思い出せない』
『駅の出口を間違えた』

また、ある記憶について
ずっと前から知っていたのか最近覚えたことなのかの、
記憶の整理がつかないといったこともあります。

記憶以外にも、
『料理が段取り良くできない』
『靴ひもが結べない』
『箸がいつもと逆に置かれると対応できない』

などの症状も現れます。


■感情はある

認知症になると感情も失われて
何も分からなくなると思われがちですが、
それは間違いです。
さまざまな感情だけではなく、
見栄やプライドなども以前と変わりません。
これらのことを理解せずに接すると、
相手の気持ちを傷つけてしまうことになります。


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【接し方】

認知症の人は
『日常生活や会話がきちんとできる』
『なんでも普通にできるのだ』
と過大評価されたり
『僕のことわかる!』
『ええっ! こんなに元気なのに』
と過小評価されたりしています。

患者さんはどちらにも戸惑いを覚えますが、
周囲の人が避けるべきことは過小評価することです。
それが、患者さんを大きく傷つけることになるからです。

『これは理解できないだろう』
と思って伝えるのをやめてしまうと、
実際には伝わったかもしれないことも
伝わらないままになってしまいます。

さらに
“理解できない人”
として扱われたことに、
患者さんはがっかりしてしまいます。

周囲の人は過大評価して、
伝わることを期待して接することが良いでしょう。
さらに、解説の繁田先生は、
『“つうかあの仲”になって、
時にはしった激励できるような関係を築きたいと考えています』

とおっしゃって、
やさしく身守るとともに、
厳しく言えるような仲も大事だとしています。


■認知症とともに生きる

認知症の患者さんは、
もの忘れをしたりさまざまな失敗をすることで、
不安や混乱を覚え、自分を責めたりします。
このようなマイナスの感情が生じるのは当たり前のことです。
それを当たり前のこととして受け止めることもよいことです。
患者さんの次のような言葉があります。
「アルツハイマーになったことは、
悔やんでも仕方のないこと。
病気と向き合って生きていくしかない。
自分が今できることをしながら、
楽しく生活していきたい」

認知症をことさらコントロールすべきものとは考えない、
という病気との向き合い方もあるということです。


■家族の声

家族が認知症になると、
患者本人だけではなく周りの家族も辛い思いをします。

『発病するまでは私がすごく主人をたよっていたけれども、
今は逆転しました。主人は私を頼りにしています。
でも、それは本当に寂しい』

『母に優しく接したいが
ついあれこれ言ったり腹をたてたりしてしまう。
自分は冷たい人間じゃないか』


このように、家族も本人とかわらないほど、
切実な思いを抱えているのです。


■認知症者の気持ち

◆初期発生


『何かおかしなことをしでかして、
人に嫌な思いをさせてしまうのが怖くて、
人と会うのが少し億劫になっていたかもしれない』

患者さん本人が必ず『何かおかしい』ことに気付くが、
加齢によるものか、病気によるものかわからず、
不安になっています。


◆受診・診断

“認知症かもしれない?”
と思ったときに受診をためらう理由は、
『認知症ではない可能性もある』
本人には『認知症かどうか』知りたくない気持ちがあるのです。

『もう終わりだと思いました。(略)
夜も眠れませんでした。
絶望的な気持ちになってしまいました』
『この先、人に迷惑ばかりかけるようだったら
早く死んでしまいたいと思った』

診断を受けると、
家族や周りに迷惑をかけてしまうのではないかと悩み、
思いつめてしまう患者さんが多くいます。


◆日常生活での困難が増える

『霧の中で暮らしているような感覚にあります。
何もかもが複雑で必死で努力しても
極度に疲労してしまいます』

もの忘れをしたりなど、出来ないことが増えていくことに、
不安、恐怖、あせりを感じています。


◆病気と向き合う

「『どうして自分がアルツハイマーになったのか』
そればかり考えていたが、
『私は私だ』
とようやくわかった」

診断されたときの絶望感や日常生活での困難を乗り越えて、
前向きに病気と向き合っていける人も少なくありません。
そのためには、認知症である自分を責ないことが大切です。