つらい胸焼け チョイス10月28日NHK

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MCは八嶋智人さん、大和田美帆さん、
ゲストは、
チョイスコンシェルジュは牛田茉友さん、
解説してくれるのは、
国立国際医療研究センター病院
消化器内科診療科長 秋山 純一先生です。


image130.gif【つらい胸やけ!】

【塩田さん・女性67歳のケース】

最初は、物が飲み込みにくく、
何かつっかえるような気がしていました。
痛みは特に感じていませんでしたが、
徐々に胸やけを覚えるようになっていきました。

その後も胸やけはおさまらず、
1年後には、
ほぼ毎晩胸やけに悩まされるようになりました。
寝て1時間半くらいたつと、
突然胸やけが上がってくるような印象で、
10分ほど上体を起こしておくとおさまっていました。

ときには吐き気を感じることもありました。
食欲も減退し、以前の1/3くらいしか食べられなくなり、
辛いものなどの刺激物を口にできなくなり、
家事や外出をする気力もなくなっていきました。

病院で診てもらったところ、
『逆流性食道炎』
でした。


■逆流性食道炎

胃の内容物が食道に逆流し、
食道が炎症を起こしている状態です。

通常なら、胃と食道の間(噴門)がしまっていて、
胃の内容物が逆流することはありませんが、
何らかの理由でそれが逆流して、
胃酸で食道がダメージをうけ炎症を起こします。
胃酸が逆流する一番の理由は加齢です。


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【逆流性食道炎の原因】

■生活習慣による原因

食べ過ぎ、早食い、炭酸飲料の飲み過ぎなどです。
空気を飲み込んでゲップができるときに、
胃酸が逆流することがあるからです。



■脂肪、アルコールの摂り過ぎ

揚げものなど脂肪を多く含む物を食べると、
胃酸が多く出るとともに、
下部食道括約筋が開きやすくなる消化管ホルモンも分泌され、
胃酸が逆流しやすくなります。



■飲酒・喫煙の習慣のある人

アルコールやたばこは食道を刺激したり、
下部食道括約筋の働きを弱めます。



■肥満気味の人

特に内臓脂肪型肥満の人は、
内臓脂肪によって腹圧が上昇し、
胃が圧迫されることで逆流につながります。


■前かがみの姿勢・猫背になりがちの人

腹部に力がかかり、腹部全体が圧迫され、
胃酸が逆流しやすくなります。

デスクワークなどの前かがみの姿勢、
骨粗鬆症などで高齢者によくみられる猫背などは注意が必要です。

ベルトでお腹を締めることが原因となることもあります。


■食道裂孔ヘルニア

猫背などの姿勢を頻繁にしていると、
食道裂孔ヘルニアを引きおこす危険性があります。

胸のあたりには、筋肉でできている横隔膜があり、
そこを食道が貫く食道裂孔という孔があいています。
下部食道括約筋がゆるんでいると、
胃の上部が食道裂孔を押し広げて横隔膜の上に出てしまう
食道裂孔ヘルニアを起こすことがあります。
食道裂孔ヘルニアになると、
胃と食道のつなぎ目が開いたままになり、
胃食道逆流症が起こりやすくなります。



■食べてすぐ寝る人

食道への胃酸の逆流が起きやすいのは食後です。
食事をしてすぐに寝ると、
横になった状態なので逆流した胃酸が胃に戻らず、
長時間食道内にとどまり、
炎症を起こしやすくなります。
食事は、寝る3時間前までにすませるようにしてください。





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【症状と治療】

■逆流性食道炎の症状

胸やけ
咳が出る
睡眠障害
吞酸(どんさん):胃酸が口のほうまで逆流して、
         口の中が酸っぱく感じる症状
喘息の悪化
胸痛:狭心症と間違えるほどの痛みを覚える人もいます
声のかすれ
のどの不快感


■塩田さんの治療

◆酸分泌抑制薬

『プロトンポンプ阻害薬』
の投薬治療を受けました。
これは、胃酸の分泌を抑える薬です。
塩田さんはその新薬である
『ボノプラザン』
を服用しました。

治療の基本は薬物治療です。
最初に胃酸の分泌を強力に抑える
プロトンポンプ阻害薬を用います。
軽症の人(約8割)は従来のプロトンポンプ阻害薬で治療します。

従来の薬は効果がでるまで2~3日かかりましたが、
新薬のボノプラザンは早く効果がでるようになりました。

この薬を飲んでからと言う者、
塩田さんは痛みを覚える日がなくなったといいます。
炎症によってできていたびらんが解消して、
ほぼ以前のような良好な状態に回復しました。
ただし、この薬には副作用としてまれに発疹が出たり、
肝機能障害が出る人もいます。


■酸中和薬

逆流したときに酸を中和する薬で、
市販薬に多いタイプです。
『水酸化アルミニウム』
『水酸化マグネシウム』



■消化管運動機能改善薬

消化管の運動をよくする薬です。
『モサプリド』

薬をやめると、
半数の人が半年以内に繰り返すとされています。

また、薬でおさまらないときには、
手術という選択もありますが、
それはまれです


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【治療と合併症】

■丸岡さん女性70歳のケース

逆流性食道炎を放置したり、
繰り返したりすると、
バレット食道になってしまうことがあります。

もともと胃だった場所が食道に置き換わった病気です。

バレット食道が3cm以上になると、
食道がん(食道腺がん)のリスクを高めるとされています。


丸岡さんは、プロトンポンプ薬による治療を行っています。
それによって、進行を食い止めています。


■バレット食道

食道が胃酸にさらされ続けると、
粘膜が変化してバレット食道になることがあります。
痛みなどはありませんが、
まれに食道腺がんになることがあります。
日本人は欧米人に比べて
食道腺がんになることは少ないとされていますが、
バレット食道と診断されたら、
担当医に相談するようにしてください。


さらに、逆流を繰り返すと、
びらん潰瘍となり、
貧血の原因となることがあります。

炎症がずっと続くと、
食道がせまくなって狭窄をきたすこともあります。
胃食道逆流症の再発を繰り返すと、
合併症を起こす危険が高まります。
食道の炎症が進み重症化して潰瘍になると、
出血する場合があります。

また、潰瘍が深くなったり、
食道全体に潰瘍が多発したりすると、
潰瘍部分がひきつれを起こして食道が狭窄し、
食べ物の通りが悪くなります。
そのため、定期的に検査を行うことが大切です。


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【鈴木さん女性のケース】

明け方に胸の不快感がありました。
上半身を起こしたときは、
少しだけ症状がおさまるようなきがしていました。

消化器内科を受診し、
内視鏡検査を受けたのですが、
食道には異常はみつかりませんでした。
診断は
『非びらん性胃食道逆流症(NERD:ナード)』
でした。


■非びらん性胃食道逆流症(ナード)

食道に炎症によるびらんはありませんが、
食道の粘膜が通常より過敏になっているために、
少しの胃酸でも反応して症状が起こります。
日本人の胃食道逆流症患者の約6割を占め、
特に20~40歳代の若いやせ形の女性に多いとされています。
そして、痛みは逆流性食道炎とかわりません。

原因はまだはっきりしませんが、
ストレスが大きな原因と考えられています。

ポロトンポンプ薬で治療しますが、
効果は5割くらいの人にしかみられません。
胃腸の調子をよくする漢方薬を併用したり、
ストレスを軽減する抗不安薬を併用したりします。

それでも効果がない場合は、
『PHモニタリング』
を実施します。
また、ナードも生活改善が役に立ちます。


■PHモニタリング

24時間かけて胃酸が逆流する頻度や時間帯を計測するものです。
原因を特定し治療方針を決めるのに役立てます。
主に入院して行います。